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木材の基本知識の最近のブログ記事

お客さんから棚板の耐加重について何Kgぐらい???なんてよく聞かれます。(答えに・・つまる)

こちらとしても、40Kg 50kgと数値で示したいところですが本棚の棚板などは数値で示すことは案外難しいのです。

しかし使う方の側にすれば数値で知りたい気持ちは痛いほどわかります。

確かにネットなどを見てると実際にKgで具体的に示してるサイトもありますが・・・・何を元に出した数値かはほとんど示されていません。

耐加重を数値で表す時は本などの重量物が乗った時、大きく分けて3段階あります。

例えば

  1. 反りはじめの時点(5kg)
  2. 反ってると目視で感じる時点(20kg)
  3. 壊れる時点(100kg)

段階ごと数値に置き換えれば大きく違います。

また棚、中央部、端、全体での大きく違います。

多くの場合お客さんが知りたいのは2番の「反ってるな」と感じる時点では無いかと思うのですが・・・

2番の場合は人によっても感じ方が違うので、より難しくなります。

オーダーの場合は棚板の板厚、長さ、奥行き、ジョイント方法、樹種・・・等でも違います。

耐加重を示す場合は計る場所、時点、その他諸条件を一定に決めないと数値で示すことはできません。

ですから当社では諸条件をハッキリさせた後、おおよその数値と感じを目安として示す事にしています。

余談ですが、20年ほど前、当社でもカタログ制作にあたり「ストーレ」と言う既成品の木製本棚を公的試験上に持って行き検査したことがあります。

そしたら出たのは棚板一枚あたりの破壊加重は5枚すべて700kgを超えていました。(*_*)

ビックリしたのはそれだけでは無く、壊れたのはすべてジョイント部スチール製の部分でした、その時木は鉄より強いことを実感しました。

じゃ!!700kgなので4枚なら2t800kg   ?????

カタログにはそんな数字乗せられない事となり、一枚あたり50kgとカタログには記載となりました。

ネット等で数値で耐加重を示していることをよく見ますが、合板仕様のところがほとんどです。

耐加重について作っていてハッキリ言えることは

木材仕様と合板仕様では木材の方が耐久性、強度の面からは圧倒的に強いといつも感じています。 

木のネジレ

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pain2.jpg木は成長する過程で上に伸びる時ネジレながら伸びていきます。

これは強い風が吹けば枝に着いた葉はヨットの帆のように風をまともに受けます。
この時、木はネジレてしなることで上手く風を逃し倒れたり、折れたりしることから身を守っています。

木材を扱う場合この特性をよく知ることはデザインをする上でとても重要です。

この事が至る所でデザインの邪魔をしたり障害となります。

但しこの邪魔者が構造物の強度を作るためとても重要な働きします。

この新羅万象の摂理を逆らうのでなく上手く利用できた時は木工デザインをする上で最大に面白い事なのです。

木材は乾燥された状態で販売されていますが乾燥方法には人工乾燥と自然乾燥とがあります。

ホームセンターなどで販売されているものはおおかた人工乾燥されたものですが多くは建築用に製材乾燥されています。
しかし木の含水率はなかなか見ることが出来ません。
同じように見える木材も乾燥度により接着剤の効きやアバレは大きく違ってきます。

この乾燥度合いが家具を作る場合の基本要素で最も重要な部分でもあります。

建築用の木材は少し乾燥が甘く15~18%程度が多いようです、ネジ釘を多く使う建築ではこれでも良いのですがこの伸縮やアバレを考えると家具作りにはでは水分が多すぎます。
10~12%程度が私の経験からは家具に適してると考えます。
もちろんこの状態でも木の反り、伸縮はあります、でも空気の湿度を考えるとこのくらいが比較的木材の特性を押さえてくれます。

乾燥状態がいい加減な木材で家具を作るとまともな物はなかなか出来ません。
一般ホームセンターで販売されている木材は建築用がほとんどで家具用に乾燥されたものは少ないようです。
このような木材を使って作ってみたが後で反ったり、曲がってり、ハズレてりと問題が出てくるのは木材の乾燥状態によるものが多いようです。

こうした木材の乾燥に関する特性を知らずにみんな同じように考えている人は多いようですが家具などを作る場合はその違いを知るべきです。

木工接着剤について

一般的にホームセンターなどで販売されてる木工ボンドは酢ビ系接着剤(酢酸ビニル)がほとんどです。
乾くと透明になり粘着力があり使いやすいものですが一般的には水分に弱いとされています。

木工ボンドと言っても実は数百種類もありそのなかの酢ビは一つにすぎません。
用途により使い分けが必要ですが、それにはそれぞれの接着剤の特性を掌握して接着方法を研究する必要があります。

フィンランドでは集成材工場をよく見学に行きましたが接着剤の取扱いは鍵のかかった別室を設け管理し何を使っているかは企業秘密で見せても、教えてももらえませんでした。
それが示すように木工における接着剤の重要度はとても高いのです。

接着剤は水分に強い物、そうでない物いろいろですが大小の差こそあれ水分により劣化します。
木は常に水分を保有しています、その水分が何年もの長時間さらされることにより接着剤が劣化してきます。
完全に劣化すれば接着は外れてしまいます。
よく家具のプリント合板がめくれている事がありますが接着剤の過年劣化によるものです。

このような木工ボンドと水分の関係を知り加工技術やデザインに反映させて作ることは家具作りには欠かせません。

R0015297.jpgテーブルの脚を接着集成しているところです。

チョット接着するのであればここまでする必要は無いと思いますが後々剥がれないようにするにはそれなりの技術と経験が必要です。
一般的に集成材を作る場合は1平方センチメートルあたり7kg、すなわち10cm×10cmのモノを着ける場合700kgの力と接着力強い接着剤が必要です。

画像の油圧ジャッキは4t×2計8トンの力を持っています。
これで30分~60分加圧します、これでテーブルの脚の材用が出来ます。

ここまでやらなくても・・・・
と思われるかもしれませんが木材は水分を常に保有しているのでその水分が年月とともに接着材を劣化させます、これにより接着面は外れる事があります。

まだ家具をデザインしはじめの頃このような問題で不良品を作ってしまった苦い経験があります。

この経験から試行錯誤の結果、自分で作った集成テーブルと油圧ジャッキシステムです。
これにより接着ミスはなくなりました。

sori.jpg

木で家具を作る場合の厄介なモノがき反りやネジレがあります。

 絵は少々オーバーに描いていますが乾燥のやり方によっては絵のようにもなってしまいます。

一見、真直ぐに見える板も厳密にはすべて木材は反りやネジレと言った特有の癖を持っています。

木製で家具をデザインする場合はこの特性を考慮してデザイしなければなりません。
この特性は少し厄介にも思えますが
実はこれが合板などにない木製の強度を作り出しますになります。hako.jpg

例えば図のように箱にした時、板はネジレたくてもネジレる事が出来ません。
この時、木の癖は消えて矢印のように内側に力だけが残り箱全体の強度を作ります。

この強度がどれくらのものかは樹種、木の乾燥状態、部位などにより異なるため知識として得るには経験と技術が必要です。

木材の癖を取り除いた合板ではこの強度は作り出せません。

木材で構造物(住宅、家具)をデザインする場合はこの知識は重要な基礎知識となります。

この知識は机上の理論では得ることは出来ません。
木を切ったり、削ったり、長い年月の観察・・と言った経験が必要で理屈では解決だきません。

現存する昔の建物や家具を見るとこの癖の計算が見事にされていて感心してしまいます。
それに比べると現在のものはそうした知識や経験を無視し理屈だけで作る傾向が有ります。

一見同じように見える物も使ってみればすぐに違いは出てきます。

以前、北欧Finlandの工場で私の製品をすべて制作していました。

その頃、出会ったフィンランドの学生のデザイナーについて少し話します。
15、6年前のある日の事、工場の事務所にいくと若い学生が私を待っていました、木工大学の5年生で卒業間近とのことで、聞くと私にデザインを見てもらいたいとのことで10枚程度の手描きのデザインスケッチを持参していました。
それはシェルフをデザインしたものでスケッチは上手で解りやすく1,2目を引くものがありましたが、私が驚いた事は10枚すべて明日にでも工場で作れるものでした。
後で聞いた話ですが私が来る前に1度工場に見学に来ていたそうで、サボンリンナ市からの要請で来ているらしく私がそのうちのどれかを採用すれば市から大学資金援助が出るとのことらしいことが後でわかりました。
フィンランドでは卒業間近の学生にメーカーに出向きこうした「腕試し」をよくさせるそうです。

そこで彼に聞きました。
「一度工場を見ただけ木工機器の加工限界や性能がわかるのか?」と聞いたら

「はい、わかります。大学では1,2年は機械整備から始まってひたすら木工作業の毎日で3年から職人コース、工場長コース、デザイナーコースに別れ勉強するため機械や技術的な事はだいたい分かっています」

この大学では一般工場の下請けや制作依頼をこなし一般の木工所ように仕事をうけて学校の運営資金に当てているそうです。

私はこの事を聞いて木工の国Finlandではデザインに関する考え方が日本とでは全く違うことにカルチャーショックを強く受けました。
まだ若く未熟とは言えこの学生こそデザイナーといえると感じ、この考えこそ正しいデザインでありデザイナーだと思うよになりました。
このショックはその後の私のデザインに関する考え方に今も大きく影響を与え続けています。

 

kiomote.ura.jpg

木には表と裏がありそれぞれ性質が異なります。

 表は裏より年輪の密度が高く裏に比べ収縮率が大きい。

デザインにはこの性質をよく理解する必要があります。
精度に関わる部分で知らずに反対に取付けば問題が発生します。

 

sori2.jpg

画像はわかりやすく少々オーバーに描いています。

木の乾燥状態にも左右されますので一概には言えませんが基本的には木表側に少しわん曲しながら横方向は収縮います。

これに対し縦方向はあまり収縮しません。

 

 

パイン材

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pain.jpg

 パイン材の画像です。(フィンランドの夏の風景)

手前の木がパインの木シベリア、北欧、カナダ北部比較的北の地方の赤松です。

フィンランド語でMänty(マンテュ) 後ろの背景は湖

日本ではレッドパインなどと呼ばれ親しまれています。

この木で直径20~25cmぐらいかなー、北欧ではこのくらいの太さが一般的です。
冬が厳しい国ですのであまり太くなりません、そのため年輪が詰まっていて比重が重い。

ご覧のように真っ直ぐ生えています、これが建築や家具などの材料に都合が良いのです。

フィンランドでは建築、家具様々なところで活躍しています。

とにかくフィンランド人はこの木を無駄なく使っていることには感心します。

例えば節が多く細い上部は集成材にしパネルにします、木の皮のついた部分はサウナに皮や枝は合板、または燃料にとすてるところなしです。

フィンランドの家に行くと必この木の香りがします。(空気は最高にうまい)

 木材で家具をデザインする上で木の各部位の性質や特徴を知ることは不可欠です

パイン材(針葉樹)

 hennzai.jpg

木材の特徴は樹種、木の大きさ、育った場所・・・などにより様々です、またどのくらい反る、ねじれるかは乾燥方法や含水率・・・などによりこれもまた様々です。

言葉や書物で一概に理解できるものではありません。

実際に作ることを繰り返すことにより身につけるもので長年の積み重ねた経験と情報の蓄積が必要です。

良いデザインには知識としての情報だけでは不十分です。

 私が製品をデザインし始めた頃、このことで数百台不良品出した経験もあります。
今となってはその失敗がはじめの乗り越えるデザインの壁だったようですね。 

失敗は成功のもとなどといわれますがこのことで木材についてよく考えれようになり、その生育状況、製材、乾燥・・・等々いやっちゅう程、勉強させれれた・・・奥深いわー、頭痛いわー。

辺材の性質と特徴
良い点

  • ねじれ、そりが少ない
  • 節が少ない
  • 年輪の密度が高く、比重が重く強い
  • 美しい

悪い点

  • 横方向の縮みが多く、水割れ、横方向の縮み、芯材に比べ多く発生しやすい。
  • 価格が高い

用途 窓枠、建具、カマチ扉枠・・

辺材販売ページ
http://www.oneall.co.jp/pro_shop/puu/pain.html


芯に近い部位の特徴は
良い点

  • 大きは部位を確保できる
  • 価格が辺材に比べ安い
悪い点
  • ねじれ、反りが多い 
  • 節も多い

2010_0306_27.jpg今日は朝から雨がしとしと降っています。

本日はテーブルを作る予定ですがこんな日は少し気を使います。

 

 

 写真はパイン集成材の束(工場内)一番上の板が反っているのがわかる?

雨で湿度が上がると空気に接する面は湿気を含み伸びようとしますが下の面は空気と触れる面が少ないため同じように伸びることが出来ず反っています。

ほって置くともとに戻ったり
乾燥した日は逆に反ります。

まるで生きてるみたいです。

 

 

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----作者紹介----


三谷 正昭
1953年3月大阪生まれ
-職業-
本棚、家具等の デザインと製作販売
㈱ONE&ALL代表
-好きなこと-
魚釣り、歩くこと、サイクリング、 仕事
-得意なこと-
壁面にピッタリの本棚やキャビネット作り
-ごあいさつ-
プライベート、本業を通じて「ふっ!]と気づいたことなどを勝手気ままに綴っています。
素顔で話すことを心がけます。

----本業ホームページ----

会社案内
www.oneall.co.jp/kaisya
家具販売のホームページ
www.oneall.co.jp
オーダーメイド家具製作例
www.oenall.co.jp/order_mare

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